Total care ANDANTEが目指すもの
”歩くことは人間の尊厳である”
この言葉は日独小児靴学研究会でお世話になっているドイツ整形外科靴マイスターであるルッツ・ベーレ氏が、講義中に仰られた言葉の1つです。初めてこの言葉を聞いた時、残念ながら私はその言葉の真意を理解することができていませんでしたが、足・靴の知識を深めれば深めるほど私が目指すものがこの言葉に凝縮されていることを痛感するのです。
人間の基本動作である立つ・歩くこと
様々な動作を通して仕事をし日常生活を送る人間ですが、その一つ一つの動作は立つ・歩くという基本動作によって支えられていることばかりです。あまりに当たり前すぎる立つ・歩くという動作、これが当たり前に成り立たなくなった時、どんなことが起こるか想像したことはあるでしょうか。
2016年3月、通勤途中にド派手に転倒、左膝の後十字靭帯を損傷(伸ばして)してしまい、4ヶ月の通院リハビリという貴重な経験をしました。痛みはもちろんのこと、長時間立っていることは難しく、今まで自由に曲がっていた膝が曲げられない、曲げられないことによって階段の昇降は不自由になり、今までその有難みを感じることのなかった手すりとお友達になり、和式のお手洗いも使用できず、公共施設ではお手洗いに困る日々でした。
この怪我は期間限定の経験でしたが、足(脚)の自由が利かないということは自分の行動範囲を制限し、時に楽しみを奪ってしまうものであること、これが期間限定でなくなった時、自分の周りの家族の時間も奪ってしまう可能性があることに気が付きました。
人生100年時代の到来
科学技術・医療技術の進歩によって長寿が実現し、人生100年時代と言われる時代となりました。一方、健康寿命(健康寿命とは「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のこと)はというと、平均寿命と比べ男性では8.84年、女性では12.35年(2016年統計結果)の差があります。
人生の終末約10年間を制限のある中で過ごすのと、健康でやりたいことをやりながら生き生きと過ごすのではどちらが良いか?もちろん後者の方が幸せではないでしょうか。そしてこの健康寿命を延ばすことに直結するのが、元気に自分の足(脚)で歩けることが不可欠なのです。
生まれた時から健康な足を育てるために
足と靴の知識を学べば学ぶほど、健康な足を育てるために靴の選択が重要であること、そしてその知識がこの日本ではまだまだ知られていないことを痛感します。私自身の足は外反母趾ですが、この足に成長してしまったのは足を育てる幼少期に履いていた靴や、生活習慣の影響を大きく受けた結果です。
もし正しい知識を得られていたら… たら・ればのお話ですが、私の足は外反母趾にはなっていなかったかもしれません。ですから、いついつまでも健康な足を保てるよう、私のような足に育ってしまう人を減らせるよう、未来の足のためにできることを一つ一つ啓蒙していきたいと思います。そして、我がサロンにお越し頂いたみなさんが、金銭的・物質的な豊かさに留まらない豊かな未来を育めるよう、お手伝いをさせて頂きたいと思います。